介護事業者の倒産と事業承継その1
最近介護事業者の倒産件数が増加しています。
企業の信用情報を扱う東京商工リサーチの調査では、
2015年の介護事業者の倒産件数は76件、
前年は54件ですので、22件増加、比率では40%の増加です。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160113_07.html
会社が事業をやめるのには、いくつかのパターンがあります。
①破産
会社運営が終了します、債権や債務を整理するために裁判所管理ものと、会社を清算します
②民事再生、会社更生
負債(借入など)の返済が難しいが、会社の悪い部分を取り除くと、立ち直れる可能性がある場合に裁判書に申し立てて、悪い部分を取り除き、新しい会社として再出発するための制度
③清算
負債がないなど、利害の対立がない場合会社を清算し、会社をたたみます。
一般的には①と②が倒産とよばれます。③は社長が高齢で、後継者がいないため、会社をたたむときなどに使われます。
①と②がいわゆる倒産、といわれるものになります。③は廃業といわれます。
さて、会社が倒産へと進むプロセス分析してみます。おおよその会社は銀行から借入をしています。収入があって、経費を支払い、その残りで銀行へ借入金の返済をします。収入から経費を支払い、その残りで銀行の返済が出来ない場合、経営者は何をするかというと、銀行に返済をまってもらうための交渉をします。なんども未払いが続くようなら、銀行は返済を迫ってきます。たとえば、経営者の自宅を担保に取っているなら、自宅担保を売却するとか。銀行への支払いが問題であれば、民事再生や会社更生法を申請して、負債の整理を行うことで新たな出発ができるかもしれません。
銀行への返済だけでなく、経費の支払いができなくなるとどうでしょう。予想ですが、まず、社会保険料の支払いを止めますかね。人が資産の介護事業では結構大きい額になります。その次は源泉税や消費税でしょうか。そのうち従業員の給与支払いが遅れ、食材などの仕入れ費用を棚上げし、、、となると、、、、もはや手遅れ。ここまでくると、破産しか選択肢はなくなります。
何事も早めの決断が大切、ということ。決断が遅れると、迷惑をかける人が加速度的に増えるということですね。
東京商工リサーチの資料には、倒産した介護事業者は、通所介護、訪問介護で58件、従業員5名未満が48件ということで、小規模の事業者が倒産していることがわかります。
そういえば私たちの事業所の回りでも店を閉めた小規模デイがいくつかあります。
親会社がこの事業から撤退をきめたようで、この場合は倒産ではなく、清算(廃業)ということですかね。
次回はこの倒産へ至るプロセスで、何をすれば不死鳥のごとく復活することができるのか、可能な手段を考えてみましょう。
今回のコラムは社会福祉士で金融機関で医療介護業界への融資や再生などを行っていた本NPO副理事長が担当いたしました。今後も、高齢化社会で直面する問題について、知っておきたい豆知識をコラムとしてご提供しようと思います。ソーシャルワークの一助になれば幸いです。
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