理事長ブログ

高齢者と住まい その1

ソーシャルワークコラムNo3
一般的に住宅を賃貸する際に、苦労する属性として、高齢者、年金生活者、生活保護者、外国人などがあります。

なぜ、苦労するのかを理解するために、大家さんの立場を見てみましょう。
次の文書は大家さんがよく見るサイト、「建美屋」に掲載されている現役大家さんのコラムです。

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私の物件にも、高齢者、年金生活者、生活保護者、外国人等の方もおられます。高齢者の方については、最も心配なのは、孤独死です。連帯保証人なしの保証会社保証だと心配なので、少なくとも、身元引受人がいることは最低限の条件にしています。

管理会社さんには、通常以上に気を配り、見守っていただくようにお願いしています。郵便受けの溜まり具合、電気のメーター・瓦斯の元栓等の状況、カーテン・洗濯物等から、ある程度の様子がわかるものです。

これからの時代は、これまで、一般の大家さんたちが避けてきた高齢者、年金生活者、生活保護者、外国人等の方々を、積極的に対象として考える必要が出てくるかと思います。

例えば、高齢者用に見守りサービス( センサー等を活用した安否確認、巡回等 )、ヘルパーサービスを付ける、年金生活者、生活保護者を対象に、ファイナンシャル・アドバイスサービスを付ける、外国人を対象に、日本語スクールサービスを付ける、外国人用シェアハウスにする等、工夫をすることで、空室が減る上、入居者の方にも喜んでいただけるかもしれません。

建美屋
https://www.kenbiya.com/column/katota/99/

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高齢者という対象で大家さんが心配なのは①孤独死対策、②身元引受人、ということですね。

実はワタシも賃貸物件を運営しており、大家、という立場が理解できます。

つまり、
①最悪孤独死となれば、事故物件扱いとなり、次の賃借人に説明義務が生じるそのため、次の賃借人が決まりずらい

②身元引受人
万一お亡くなりになったとき、葬儀や残置物の撤去の手続きが必要

ということでしょうか。大家さんって、地元の農家が遊休地にアパート作りました、みたいな人もいますが、多くが地縁ない遠方で単純に投資として物件を保有している人のほうが多いとおもいます。ワタシの周りでも、水戸や宇都宮、遠くは神戸に物件を所有している大家もおります。遠方の大家さんは面倒くさいことできないし、避ける傾向にあります。

繰り返しになりますが、大家さんの最大の懸念は賃料収入がない、ということ分解すると、2つで、一つは借主がいても家賃を払ってくれない対策としては保証会社を入れる、連帯保証人をいれる

二つ目は、次の借主がきまらない孤独死したら、告知義務で次の借り手が決まりづらくなります。また、孤独死ではないにせよ、残置物があれば、撤去費用もかかりますし、撤去する時間だけ、次の借主を探す時間が減る、ということです。

冷たいようですが、お互いの立場でまずは現状を認識することが出発点かと思います。

高齢者と住まいの問題は、地域包括ケアシステムの中でも重要なポイントです。今回はまず賃貸物件を借り受ける際の大家さんの考え方を整理しました。この問題は引き続き何回かに分けて、論点を整理していきたいと思います。

今回のコラムは社会福祉士で賃貸不動産を所有する本NPO副理事長が担当いたしました。今後も、高齢化社会で直面する問題について、知っておきたい豆知識をコラムとしてご提供しようと思います。ソーシャルワークの一助になれば幸いです。

結グループ(NPO全国生活支援機構)は地域の生活を支えることを目的とした団体です。介護はもちろん、税務、法務、不動産などの専門家がおり、地域の生活支援のお手伝いをしております。詳細で具体的なご相談はそれぞれの有資格者にいただく必要がありますが、「どこに聞いたらいいかわからない」、「何をしていいかわからない」などお困りごとがありましたらご相談ください。

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